You and I
樹里は眉間にシワを寄せて考え込んだ。
下唇を噛むのは、樹里が考えてる時のサインだ。
「ん~…。」
「どうした?」
僕は少しぬるくなったココアを口に運び
樹里の言葉を待つ。
「…じゃ、じゃあ、どうしてごめんね、って言ったのにあの、人はなぁたんに、会いに、来るのー?」
「…さぁ。」
それは、僕が一番聞きたい。
ぐっと体を伸ばした僕は
「だけどもう来ないよ。」
とそう言って再びシャーペンを握り締めた。
「…本当ー?」
「うん。」
「本当に、本当ー?」
「本当。」
僕の言葉に
ようやく納得した様子の樹里は
「なら、許すー!」
と笑顔で宿題をやり始める。
そんな樹里の笑顔はやっぱり
天使なのかもしれないと思った、満月の夜。
…重症だ。