You and I
樹里は結局、一時間目の授業を終えて
いつもよりも早く、早退してしまった。
前は早くてもお昼過ぎだったのに…。
少し、気掛かりだったけど
樹里は相変わらず毎日元気だし。
…僕が考えすぎなのかもしれないな。
そう自分に言い聞かせて
その帰り道は案の定、村上と一緒だった僕。
帰る頃には
そんな心配事もすっかり消えていて。
鼻歌なんか口ずさみながら帰宅したら
「あ、尚斗。倉本のおばさんが話あるって。」
と母さんに言われた。
「話?」
「うん。何か、樹里ちゃんの耳の事で話があるって…。」
僕は母さんの言葉が終わる前に
玄関を飛び出した。
嫌な胸騒ぎがして。
慌てて樹里の家に駆け込んだけど
よく考えてみればお隣さんだ。
ゆっくり行っても10秒程度で辿り着く。
て事で、僕の憶測だけど
多分、2秒しか経たないうちに
樹里の家に着いた。
落ち着け、僕。