You and I
「ぃやっっったぁぁあ!」
勢いよく立ち上がった僕は興奮気味に樹里に向かって
「よかったな!本当、よかったぁ!」
と顔を覗き込んだ。
本当に嬉しくて。
二人でCD聞いたり
誰かのライブに行ったり
映画見たりなんかしたりして……
………あれ?
「…樹里?」
喜びを隠し切れない僕とおばさん達とは裏腹に
何故か樹里の表情はとても強張っていた。
「…樹里?どうした?嬉しくないのか?」
「…………。」
まるで縫い付けられたように口を閉ざす樹里は
僕と目を合わせようとはしない。
意味がわからなかった。
言い方は悪いけど
樹里の耳は一応、障害な訳で。
その障害がなくなるってのは嬉しい事なんじゃないのか?
なのにどうして
そんな顔してるんだよ。