You and I
その日は教室でも一度も口を聞かなかった。
目も、合わせなくて。
いつもなら
樹里が居るはずの放課後の教室に
今日は僕、一人だけ。
オレンジ色に染まる放課後は
僕にとって大切な時間だったのに。
今となっては
この夕焼けすら僕を苛立たせる。
……帰ろう。
考えても仕方ない。
樹里が今のままでいいなら
僕にはもう、何も言う事はないんだ。
……仕方ない、さ。
ふぅっと一度溜め息をついて立ち上がった僕は
夕暮れの教室に背を向けて
長い廊下へと足を運ぶ。
時折
無意識に出てしまう溜め息は
きっと、罪悪感から来るんだと思った。
“頼り過ぎだよ。”
…あぁ。
何であんな事言っちゃったんだ、僕は。