You and I
だから僕は樹里を
“家族”として好きなんだって
そう思ってた。
…でも、もしかしたらこの考えも
間違えてるのか?
「あぁ~っ!くそ!意味わかんねぇっ!」
モヤモヤした気持ちが頭の中を支配して
僕は座り込んで頭を抱えた。
そんな時
「なーに考えてるんですか?」
と頭上から声が聞こえて僕は顔を上げる。
……最悪だ。
「こんにちわ。」
「……ども。」
相変わらず香水を撒き散らし
僕に笑い掛ける女。
佐伯エリナ。
あぁ、マジで最悪だ。
どうしてこんな時に限って…。
「今帰りですかぁ?」
「あ?あぁ、うん。」
立ち上がった僕は
佐伯エリナを避けるように昇降口を目指す。