You and I
キィ…っと音を立てて外れた下駄箱の扉は
もうその役目を果たしてはいない。
右手に
痛みはなかった。
「誰が気持ち悪いだと?お前、なめんのも大概にしろよ。」
僕の豹変ぶりに
佐伯エリナの顔はすっかり青ざめている。
「お前みたいな性格ブスな女、誰が相手にするか!」
「な……っ!」
バンッ!!!
反撃に出ようとした佐伯エリナに
更に下駄箱へ蹴りをもう一発。
その音に
彼女の肩がビクンっと竦み上がった。
「今度あいつの事口にしたらマジただじゃおかねぇから。」
ボコっと凹んだ下駄箱から足を離して
上履きから靴へと履き替えた。
佐伯エリナだけをその場に残し
僕はそのまま昇降口まで歩き出す。