You and I
そう
僕は確信したんだ。
やっぱり樹里は天使なんだと。
醜く歪んだこの世界で
彼女はきっと、神様が与えてくれた天使。
耳が多少聞こえにくくても
そのせいで発音が少しおかしくても
樹里の汚れのなさは
他の誰よりも美しくて
他の誰よりも、僕にとって大切なんだと。
…誰よりも、好きなんだと。
どうして
気が付いてやれなかったんだろう。
どうして
気が付かなかったんだろう。
今のままの樹里が一番なのに。
……僕はバカだ。
本当、バカすぎる。
「はぁ……。」
謝ろう、ちゃんと。
ちゃんと、“ごめん”って伝えよう。
そして、僕のこの気持ちも。
決意を固めて
顔を上げたその時。
下駄箱の門で
ポツンと佇むその姿。
「…樹里…。」
それは、紛れもなく
僕の天使。
僕の好きな人だった。