【短編】キミはお姫様。【実話】
ギターの弦
「ずっと続くんだ」って思ってるものでもさ。
その時の気持ちがどんなに強くたって、ある日突然パッと消えちゃうものってあるでしょ。
無くなってからそのありがたみに気づくっていうのよく言うけどさ
俺の場合、そんなの感じる余裕すらなかった。

高校入って初めの一週間は全然友達とかできる気配なくて、「ああもうこのまま一人でもいいやー」って変な覚悟してたけど、君が話しかけてくれた。

「桜井光司くん・・・?だっけ?」

ワックスでクセをつけた金髪
ちょっと釣りあがった目
シルバーのピアス

「あ、あぁ・・・君は・・・?」

青木龍太郎。クラスでも目立つ存在で知ってたけど会話続けるために聞いてみた。

「あー俺?青木龍太郎だよーーー!いい加減覚えてちょうだい!」

「ごめん・・・でも、さっそくクラスに溶け込んでるし・・・
すごいな・・・人気者ってイメージはあったよ。」

「あ、マジ?まー俺、ヘラヘラしてっからね!人気でちゃうのかなーなんて?
自分で言うなこらー! っつて」

「あはは。でもこんな話しやすい奴だとは思ってなかったよ。
もっとなんかこう・・・」

「だいじょぶだいじょぶ!でーさっそく本題なんだけどバンドとか興味ある?」

「え?何だよ急に・・・?」

「いや~~~まぁ今はないんだけどさ。新入生でバンド作らないって話になっててー」



バンド



思ってもみない話だった。
中1の時からギターバカだった俺は学校から帰るとよく家で一人練習をしていた。
元々友達は狭く深くって感じの付き合いだったし、バンドとか考えたことはあっても
なかなか実現することは難しかった。というか実現しようとすることすら面倒だった。
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