大好きだった人
沙依はため息をつき、机に顔を伏せた。

あ~・・・なんか寝そう。


―トントン

眠りかけたとき、誰かに肩をたたかれた。

振り返ると知らない女の子がニコニコしながら沙依の後ろの席で身を乗り出している。

「私、谷内桜!東小出身!」

谷内桜と名乗る子は、ショートヘアに目が大きく派手な顔つき。

「えっと・・・南小です。前田沙依です。」

急に話かけられ、沙依は動揺した。

「沙依ちゃんか~♪私の前の席で暇そ~だったから話かけちゃったあ!」

「知ってる人居なくって・・・」

「そんなオドオドしなくていいよ!でも急にごめんね」

「全然!話せる子いなくて寂しかったし~・・・」

人なつっこい桜に、沙依もどんどん心を開いていった。


入学式になる頃には、すっかり沙依と桜は仲良くなった。

入学式が終わり、クラスに戻り担任の話も終わった。


「沙依~!帰ろう♪」

ドアのほうを見ると、涼子が手を振りながら沙依を呼んでいた。

「はあ~い♪じゃ、桜ちゃん!ばいばい!!」

「ばいば~い♪明日ねぇ!」
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