失恋レクイエム ~この思いにさよならを~
あぁやだ。
このノートにはたくさんの思い出が詰まりすぎてる。
ハンカチをカバンから取り出して目に押し付ければ、少し、ほんの少し、楽になった。ずっとこうしていられれば、何も見なくてすむのに。
「じゃぁ、前回の続きから」
いつの間にか教壇に居たその人がチャイムが鳴り終わるなりいつもと変わらず授業を進めていった。
淡々と話すその声に滅入る。
彼を見たい。
その姿を見たい。
わたしはたまらず目に当てたハンカチを離して前を向いた。