失恋レクイエム ~この思いにさよならを~

 これだから残業なんてするもんじゃない。

 会社の帰り道、道端にうずくまる女を見て眉をしかめた。

 治安が良いとは決して言えない大通りから一本入った道、時刻は日付が変わろうとしている。

唯でさえ遅くまで会社に残って疲れているというのにどうしてこんな事に。

 歩く速度を緩めて少し観察。

まだ20代前半といった服装、俯いているため髪で覆われて顔は見えない。

ただ口元を押さえてるようだから、飲みすぎたのだとわかった。

 自業自得だと見てみぬ振りが出来るほど冷たい人間じゃなかった様で、気付けば歩は自然とそっちへ向かっていた。

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