失恋レクイエム ~この思いにさよならを~
こうなると出せるもの全部出したほうが楽になる。
俺も酒を飲みだした頃は先輩たちに飲まされて苦い思いをしたものだ。
落ち着いてきたようなのでさっき買ったペットボトルを開けて彼女に飲ませた。
なんで、見ず知らずの酔っ払いを介抱しなくちゃいけないんだよ。
ため息が思わずこぼれる。
「歩けるかな」
もう一度彼女を立たせて歩き出した。
そういえば交番はそう遠くない気がしたけど…と記憶を辿る。
と、支えていた彼女の肩が震えているのに気付いた。
「…ひっ、く…」
泣いていた。
聞いている俺まで苦しくなるような泣き方に胸が痛む。