失恋レクイエム ~この思いにさよならを~
*
――どこからか、音がする。
心地の良いメロディが耳に優しく届き、今までふわふわと宙を彷徨っていた意識がゆっくりと地に足を着けた。
寝返りを打ち、肌触りの良いシーツに頬ずりをする。
気持ちいい。
けれど、違う――
と、わたしの中の何かが訴える。何がどう違うのかなんて、まだ半分以上寝ている私には考える頭もないのだけど、何かが決定的に違った。
その違和感によって一瞬にして現実へと引き戻される。
ぱちり、と目が開き、最初に捕らえたのは紺色の枕。
私のじゃ、ない。
これは違う、私のやつは薄い緑に近い水色で、白いドットがさりげなく入ってるやつだもの。最近替えたばかりの。
だから記憶は真新しい。