失恋レクイエム ~この思いにさよならを~
二人が、こっちへ来る。
どうしよう、どうしようっ。
焦るばかりで思考は停止して、ただ呆然と見つめることしか出来ない。
そして、前を向き直った彼の目とわたしの目が合う、その寸前、それを遮るように人が割り込んだ。
そしてその人は息を切らせてわたしの前にやってきた。
「は…がさん…」
「ハッ…ハァ…、もう、終わっちゃった!?ごめん、メールチェックしてなくて返事もしなくて。今さっき仕事終わって……って…時森さ、ん…?」
ぽろっ。
羽賀さんの顔を見てこぼれてきた涙。
慌てて涙と顔を隠すようにわたしは俯いて、羽賀さんの後ろから歩いてくる二人が過ぎるのを待った。