失恋レクイエム ~この思いにさよならを~
きっと、気付いてる。
わたしがここで働いているのを知りながらやってくるなんて、どういうつもりか知らないけど、今は顔なんか見たくもなかった。
わたしと付き合っている間、聴きに来て、といくらお願いしたって来なかったくせに。
悲しいやら惨めやら怒りやら負の感情がない交ぜになって、支配されてしまいそうだった。
そこに、現れた羽賀さん。
息を切らして必死にごめん、と謝ってくれている彼が張り詰めていたわたしの心をゆっくりと溶かしていってくれるようだった。
「あの、ちが…ちがうんです、これは…その、」
お店に迷惑がかかるのは良くないので、わたしは酒井さんに一言いれて、羽賀さんと一緒にエリザを出た。