失恋レクイエム ~この思いにさよならを~
友達
「はぁ…」
ワンルームにわたしのため息が静かに浮いて沈んで消えていく。
わたし、なにやってるんだろう。
突然アポなしで押しかけて、デートの邪魔して勝手に部屋に上がりこんで…。
ドン引きのお邪魔むしもいいところじゃん。
はぁ…。
一緒に居た人、きれいな人だったなぁ。
ちゃんとしたブランドものの服に手入れされた肌と髪。
どっかの受付嬢とかやってそうな隙のない出来た女の人って感じで。
羽賀さん、あぁいう大人な人がタイプだったんだ。
ひとりウジウジしながら待つことほんの15分ほどして羽賀さんは帰ってきた。
ピンポンされて言われたとおり閉めた鍵を外してドアを開けるとかすかに肩で息をする羽賀さんの姿。
それを見てわたしの胸がとくん、と音を立てた。
「ご、ごめん、待たせて」
「もしかして…走って…?」
わたしの問いかけに彼は笑っただけで何も言わない。きっと羽賀さんの事だから待たせるのは悪いとか思っての事なんだろうなぁ。
「はい、ビール」
「あ、どうも」
ぷしゅっと缶ビールのプルタブを引き、口につける。って、ついノリで飲んじゃったけど!違うじゃん!
「あの、さっきはすみませんでした」。
「え?何が?」
「その…やっぱり、じゃ…邪魔しちゃいました…よね…」
「さっきも言ったけど、全然だよ。むしろ助かったーって感じ。あの人今日の飲み会で知り合っただけで、たまたま家が近所で流れで一緒に帰ってただけだし。ホント、時森さんが想像してるような関係じゃないから。気にしなくて良いよ。…って、なんか言い訳してるみたいだよな、俺」
なんでだろ、なんて首を捻ってるのを見るとどうやら本当にそういう関係じゃなさそう…。
でも女の人の方はまんざらでもなさそうだったけど…。
って、なんでわたしまでそんな詮索してるのよ…。
「そうそう、それに電話しようと思ってたところだったんだ」
「へ?わたしに?」
「うん。どうしてるかなーって」
うっわ、今のキタ。
にこって、その甘い顔でそんなコトいっちゃう!?
これだからイケメンは危険!危険!危ない!
「あ、そだ。プリン買ってきたんです。食べませんか?」
「食べる食べる。俺甘いもの好きなんだよね」
ビールとプリンという異色コンビにも羽賀さんは全然平気みたいで、ぺろりと食べてくれた。
「なんか時森さんて妹みたいで話しやすい」
「妹さん居るんですか?」
「うん、1人ね。あ、そろそろ終電ヤバいんじゃない?遅くなると危ないし。今日は飲んじゃってるから車で送ってあげれなくてごめんね」
と、羽賀さんは申し訳なさそうに言って、最寄の駅まで送ってくれた。
男の人の家に押しかけるなんて、今考えたらありえないのにわたしってばつい羽賀さんに会いたくなっちゃって…。
たまたま羽賀さん家の駅の路線に乗って気付いたら下りちゃってたんだよね。
それで手ぶらはまずいかなって思って駅の近くにあったケーキ屋さんでプリンをこしらえたってわけ。
羽賀さん、わたしの演奏聴きたいって言ってたし、また今度誘おうかなぁ。
でも…、と思考が切り替わる。
羽賀さんて、ホント優しくて…さっきの人だってちゃんと家まで送っていったし、誰に対しても平等に優しいんだろうなぁ。
きっとこれはあの人の性格なんだ。
だから、あんまり甘えすぎるのも良くないんじゃないの…?
羽賀さんて頼まれたら断れなさそうだし。負担になったらまずい…よね。
この夜、帰りの電車の中、わたしはそんなコトをぐるぐる繰り返し考えていた。
ワンルームにわたしのため息が静かに浮いて沈んで消えていく。
わたし、なにやってるんだろう。
突然アポなしで押しかけて、デートの邪魔して勝手に部屋に上がりこんで…。
ドン引きのお邪魔むしもいいところじゃん。
はぁ…。
一緒に居た人、きれいな人だったなぁ。
ちゃんとしたブランドものの服に手入れされた肌と髪。
どっかの受付嬢とかやってそうな隙のない出来た女の人って感じで。
羽賀さん、あぁいう大人な人がタイプだったんだ。
ひとりウジウジしながら待つことほんの15分ほどして羽賀さんは帰ってきた。
ピンポンされて言われたとおり閉めた鍵を外してドアを開けるとかすかに肩で息をする羽賀さんの姿。
それを見てわたしの胸がとくん、と音を立てた。
「ご、ごめん、待たせて」
「もしかして…走って…?」
わたしの問いかけに彼は笑っただけで何も言わない。きっと羽賀さんの事だから待たせるのは悪いとか思っての事なんだろうなぁ。
「はい、ビール」
「あ、どうも」
ぷしゅっと缶ビールのプルタブを引き、口につける。って、ついノリで飲んじゃったけど!違うじゃん!
「あの、さっきはすみませんでした」。
「え?何が?」
「その…やっぱり、じゃ…邪魔しちゃいました…よね…」
「さっきも言ったけど、全然だよ。むしろ助かったーって感じ。あの人今日の飲み会で知り合っただけで、たまたま家が近所で流れで一緒に帰ってただけだし。ホント、時森さんが想像してるような関係じゃないから。気にしなくて良いよ。…って、なんか言い訳してるみたいだよな、俺」
なんでだろ、なんて首を捻ってるのを見るとどうやら本当にそういう関係じゃなさそう…。
でも女の人の方はまんざらでもなさそうだったけど…。
って、なんでわたしまでそんな詮索してるのよ…。
「そうそう、それに電話しようと思ってたところだったんだ」
「へ?わたしに?」
「うん。どうしてるかなーって」
うっわ、今のキタ。
にこって、その甘い顔でそんなコトいっちゃう!?
これだからイケメンは危険!危険!危ない!
「あ、そだ。プリン買ってきたんです。食べませんか?」
「食べる食べる。俺甘いもの好きなんだよね」
ビールとプリンという異色コンビにも羽賀さんは全然平気みたいで、ぺろりと食べてくれた。
「なんか時森さんて妹みたいで話しやすい」
「妹さん居るんですか?」
「うん、1人ね。あ、そろそろ終電ヤバいんじゃない?遅くなると危ないし。今日は飲んじゃってるから車で送ってあげれなくてごめんね」
と、羽賀さんは申し訳なさそうに言って、最寄の駅まで送ってくれた。
男の人の家に押しかけるなんて、今考えたらありえないのにわたしってばつい羽賀さんに会いたくなっちゃって…。
たまたま羽賀さん家の駅の路線に乗って気付いたら下りちゃってたんだよね。
それで手ぶらはまずいかなって思って駅の近くにあったケーキ屋さんでプリンをこしらえたってわけ。
羽賀さん、わたしの演奏聴きたいって言ってたし、また今度誘おうかなぁ。
でも…、と思考が切り替わる。
羽賀さんて、ホント優しくて…さっきの人だってちゃんと家まで送っていったし、誰に対しても平等に優しいんだろうなぁ。
きっとこれはあの人の性格なんだ。
だから、あんまり甘えすぎるのも良くないんじゃないの…?
羽賀さんて頼まれたら断れなさそうだし。負担になったらまずい…よね。
この夜、帰りの電車の中、わたしはそんなコトをぐるぐる繰り返し考えていた。