失恋レクイエム ~この思いにさよならを~
4限が終わってから飲み会の始まる時間まで結衣と二人でお茶をして話に徹した。
話はもっぱら最近の結衣の彼氏の話に大学の事、それから化粧品の話。
ファンデーションはどこどこが良いとかマスカラならどことか、どうでもいいことに花を咲かせて時間を潰していた。

「今日、マユ来ないかと思ってた」

飲み会のお店までの道のり、隣の結衣がぼそりと言った。☆

「え?どうして?」
「だってマユ、あれからずっと落ち込んでたじゃない?」
「あぁ…うん。なんか心配かけちゃったよね」
「何言ってんのよ。あたしとあんたの仲でしょ!何年友達やってると思ってんの。さー今日は飲むぞー!」

今日はわたしと結衣の入っているサークルの定例飲み会で合同でやっている他の大学の人たちも参加する。

大人数のため座敷の大広間みたいな席のあるお店でいつも開催されるけれど、今日は立食形式のイタリアンのお店だった。2階のフロアを貸しきったみたい。
到着するともうすでに始まっていて結構盛り上がっていた。

「マユ!結衣!こっちこっち!」

わたしと結衣もバーカウンターでお酒を注文してビュッフェでお皿に料理を盛って見慣れた顔ぶれのいるテーブルにお邪魔した。

「さっちゃんに瑠璃ちゃん!久しぶりー!元気してた?さっちゃん最近全然会わないけどまたバイトに明け暮れてるんじゃないでしょうね?」

同じサークルの幸枝ことさっちゃんは大学そっちのけでバイトばっかりしてる事が多くて大学ではあまりその顔を見かけない。それでも単位だけは取ってるらしくって留年しないんだよね。

「最近はちゃんと行ってるのよー。単位ヤバくなってきたし、就活もそろそろやんないとだし」

 ぺろりと舌をだして肩をすくめるさっちゃんのグラスにはストローが。お酒が苦手な彼女はいつもソフトドリンクしか飲まないから、飲み会にも参加したりしなかったりと割とマイペースな子。わたしはそんな彼女がわりと好きだったりする。

「げげげ、さっちゃんの口から就活なんて言葉がでるなんて…っ」

 わたしの横で結衣が心底嫌そうな声で言った。

「でしょー?なんか幸枝に言われると焦るよね」

瑠璃ちゃんまで苦笑いでそんなコトを言う。瑠璃ちゃんはさっちゃんと同じ弦楽器科でチェロを専攻している。さっちゃんはビオラ。

「もう、二人してひどくない?」

ふくれるさっちゃんに対して結衣も瑠璃ちゃんもさらに笑った。
わたしはそんなさっちゃんの頭をなでて「よしよし」と慰めてあげる。
さっちゃんはわたしよりも背がずいぶん低くて可愛い。守ってあげたくなるタイプ。

「相変わらずだな、おまえら4人組は」
「あ、和也」

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