失恋レクイエム ~この思いにさよならを~
「私の事を気にかけてくれるのは嬉しいんですけど、彼女さんに申し訳なくて・・・」
最後に会った居酒屋で私たちの隣の隣の席に居た羽賀さん。結衣に数が足りないとせがまれて参加した合コン中、私たちよりも後に入ってきたグループの乾杯の声の後、テンションの高い女性のよく通る声が耳に飛んできた。
『良い飲みっぷり羽賀~、聞いたわよぉ、谷津さんと付き合ってるって~!』
羽賀と谷津という私の知るふたつの苗字。その声で羽賀さんだとわかり、合コン中ずっと気になってしまい、合コンどころじゃ無くなっていた。にぎやかな店内、テーブルとテーブルはすだれで仕切られていて顔は見えなかったし、人の話を盗み聞きするのも気が引ける。どうにも落ち着けなくなってトイレに立った私を追うように男性グループの一人が着いてきて「抜け出そうよ」としつこく迫られて困っていた所を羽賀さんが助けてくれたのだった。
「え、彼女いるの?」
「最近出来たみたいで・・・、前に彼と一緒にここにも来たことある人です」
谷津さん、綺麗な人だったな。顎のラインですぱっと切りそろえられたショートボブがよく似合う大人の女性。羽賀さんと並ぶとまさに美男美女の図だった。
「そっか・・・」
「羽賀さんは優しい人だから、私のことも気にかけてくれちゃうんです・・・・。でも彼女さんからしたら絶対嫌だろうなって考えたら、今まで通りじゃダメなんじゃないかって思ってきて」
気にしなくていい、なんて言って突き放してしまった。せっかく追いかけてきてくれたのに。息を切らしてまで走って追いかけてきてくれた事はすごく嬉しかったのに。その前に知った彼女の存在が頭の中をぐるぐる回って、その優しさを素直に受け入れられなかった。彼女がいるのに他の女のことを心配して追いかけてくる羽賀さんの無神経さにも少なからずいら立ちさえ覚えた。
最後に会った居酒屋で私たちの隣の隣の席に居た羽賀さん。結衣に数が足りないとせがまれて参加した合コン中、私たちよりも後に入ってきたグループの乾杯の声の後、テンションの高い女性のよく通る声が耳に飛んできた。
『良い飲みっぷり羽賀~、聞いたわよぉ、谷津さんと付き合ってるって~!』
羽賀と谷津という私の知るふたつの苗字。その声で羽賀さんだとわかり、合コン中ずっと気になってしまい、合コンどころじゃ無くなっていた。にぎやかな店内、テーブルとテーブルはすだれで仕切られていて顔は見えなかったし、人の話を盗み聞きするのも気が引ける。どうにも落ち着けなくなってトイレに立った私を追うように男性グループの一人が着いてきて「抜け出そうよ」としつこく迫られて困っていた所を羽賀さんが助けてくれたのだった。
「え、彼女いるの?」
「最近出来たみたいで・・・、前に彼と一緒にここにも来たことある人です」
谷津さん、綺麗な人だったな。顎のラインですぱっと切りそろえられたショートボブがよく似合う大人の女性。羽賀さんと並ぶとまさに美男美女の図だった。
「そっか・・・」
「羽賀さんは優しい人だから、私のことも気にかけてくれちゃうんです・・・・。でも彼女さんからしたら絶対嫌だろうなって考えたら、今まで通りじゃダメなんじゃないかって思ってきて」
気にしなくていい、なんて言って突き放してしまった。せっかく追いかけてきてくれたのに。息を切らしてまで走って追いかけてきてくれた事はすごく嬉しかったのに。その前に知った彼女の存在が頭の中をぐるぐる回って、その優しさを素直に受け入れられなかった。彼女がいるのに他の女のことを心配して追いかけてくる羽賀さんの無神経さにも少なからずいら立ちさえ覚えた。