失恋レクイエム ~この思いにさよならを~
***
バーの真ん中、ステージの上にひっそりと佇むピアノ。椅子に座り、私はそっと鍵盤の上に手を置いた。少し、いつもより緊張している自分を感じながら、呼吸を整える。
そして、心の中で拍子をとると、鍵盤を弾(はじ)いた。いつものカウンター席に座る羽賀さんの姿を目の端に捉えながら。
音を奏でるうちに、緊張は少しずつ消えていった。重く感じた鍵盤も、今は軽い。音も、とても伸びやかだ。
誰かのためにステージに立って歌うなんて、自分の想いを歌にのせて歌うなんて初めての事でまだ戸惑いが少しある。しかも、昨日の今日で。
それでも、言葉でこの想いを伝えるのは今の私には難しい気がした。
ただ「好き」と伝えればいいのかもしれない。でも、そんな二文字で片づけられる思いじゃなかった。
たった二文字で片づけたくもない。
ただ、この思いを羽賀さんに届けたかった。
それが迷惑だと思われたとしても、例え失恋ソングになってしまっても構わないから羽賀さんにちゃんと届けようと決めた。
優しい羽賀さんならきっと、ちゃんと聴いてくれると信じてる。
だから私は歌う。
この思いにさよならするためにーーーー
バーの真ん中、ステージの上にひっそりと佇むピアノ。椅子に座り、私はそっと鍵盤の上に手を置いた。少し、いつもより緊張している自分を感じながら、呼吸を整える。
そして、心の中で拍子をとると、鍵盤を弾(はじ)いた。いつものカウンター席に座る羽賀さんの姿を目の端に捉えながら。
音を奏でるうちに、緊張は少しずつ消えていった。重く感じた鍵盤も、今は軽い。音も、とても伸びやかだ。
誰かのためにステージに立って歌うなんて、自分の想いを歌にのせて歌うなんて初めての事でまだ戸惑いが少しある。しかも、昨日の今日で。
それでも、言葉でこの想いを伝えるのは今の私には難しい気がした。
ただ「好き」と伝えればいいのかもしれない。でも、そんな二文字で片づけられる思いじゃなかった。
たった二文字で片づけたくもない。
ただ、この思いを羽賀さんに届けたかった。
それが迷惑だと思われたとしても、例え失恋ソングになってしまっても構わないから羽賀さんにちゃんと届けようと決めた。
優しい羽賀さんならきっと、ちゃんと聴いてくれると信じてる。
だから私は歌う。
この思いにさよならするためにーーーー