涙の数だけ花束を



「…すいません、この会社への道を知りませんか?」


スラッと背の高くグレイのスーツを着た男性が声をかけてきた。


あたしより何歳か下ね…



ついつい、いつもの癖で会う男性の見た目年齢を計算してしまう。


我ながらなんとも恥ずかしい癖だろう…。


渡された紙に書かれた住所と会社名は見覚えのある…


「…ここ、あたしの勤めてる会社です。」


こういう偶然もあるんだな…なんて彼を見上げると


安心したように幼い笑顔をこぼした。



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