涙の数だけ花束を


そんなあどけない表情が、不意にいつかの彼と重なって、胸がキュッと締め付けられるような気分で


知らずうちに、目の前にいる彼を見つめていた。


「あの…よかったら会社まで一緒に行っても構わないですか?」


少し遠慮がちに聞いた彼に、あたしは小さく頷いて


会社までの数十分の道のりの間、ちらちらと彼の横顔を盗み見ていた。




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