涙の数だけ花束を
俯いたあたしに、孝太が慌てて話題を変えた。
「ってかさぁ、最近一緒に飲みに行ってないじゃん?久しぶりに行こうぜ?」
「…休みの前の日限定ね。最近、アルコール抜けんの遅くて…」
この世界で
孝太だけは知っている。
あたしの無謀な恋の思い出を…。
そして、彼と別れたあと一夜だけ
孝太に身を任せた夜があった事。
全部、彼を忘れたくて孝太を利用した。
だけど無理だった。
そんな事も、あたしが今だに彼を忘れられずにいる事も孝太は知っている。