涙の数だけ花束を



妻子ある彼を好きになったのは、ほんの出来心だった。


あたしの知らない世界をたくさん知ってる彼を、大人だなんて思って


いつの間にか


引き返せないほど惹かれてしまった最後は


あれほど奥さんとは離婚すると言っていたのに


結局は、彼を信じて三十路手前になったあたしを捨てたんだ。



何処かに落とした硝子の靴だって


もう、あたしに届く事はない。


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