約束の場所【短編・完結】
そして
目の前に飛び込んできた
『あるもの』に

あたしは
目を奪われた――…

ゆっくりゆっくり
それに向かって
歩を進める

一歩踏み出す度に
あたしの記憶は
過去へと向かう

それは
あたしが生まれる前より
ずっとずっと前の記憶

すべての記憶が
フラッシュバックとなって
蘇る…

「どうして…」

最後は
駆け出していた

「今まで
忘れてたんだろ…」

近づき抱きしめる

両腕を広げて
全身から感じた

「ずっとずっと
会いたかった…」

頬を伝う涙

『わたしもよ…』

そんな声が
聞こえた気がした



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