約束の場所【短編・完結】
「やっと見つけた」

後ろに立つ隆は
独り言のような
口ぶりで
教えてくれた

「春になる度に
ずっと探していたんだ」

山岳サークルに
入ったのも
そのためだった

今もどこかで
ひっそり咲いている…
かもしれない
『山桜』

あたし達に出会う日を
ずっと待っていた…
かもしれない
『山桜』

城を離れ
移り住んだどこかで
亡くなったアナタを
埋葬した場所に
目印として植えられた
『山桜』

ここは…
間違いなく
アナタの眠る場所

アナタの子供だった
あたしが
お城がよく見える場所にと
ここを選んだのだから…

あたしが
見間違う
はずがない



< 14 / 44 >

この作品をシェア

pagetop