約束の場所【短編・完結】
「何度目の
桜かな?」

つぶやくように
ささやくように
独り言のように
あたしは言う

何年経っても
変わらない

この場所の
この景色だけは

あの日と同じ
美しく
怪しく
咲き乱れる

「変わらないな」

隣の隆は
あたしを見つめて
そう言った

「そうだね」

ザッーと風が吹いて
花びらを
風がさらっていく

「これからも
きっと
変わらない
だろうな」

「そうだね」

この景色も
あたし達も

きっと
いつまでも
変わらない






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