約束の場所【短編・完結】
「そろそろ行くか?
アイツが待ってる」

カレの桜の下で
お団子食べて
いろんな話しをして
『会わせたい人』
のことなんて
すっかり忘れていた
あたし

隆の言葉で
そのことを
思い出したあたしは
全身に緊張が走る

「う、うん」

強張った様子の
あたしに
気がついたのか

「そんなに
緊張するなよ」

隆はそう言った

だけどあたしは

「だって…
誰なのか…全然
想像つかないから」

「安心しろよ
お前もきっと
会いたい人だから」

頷く隆は
自信満々の笑み

あたしが会いたい人

それは
ひとりしかいない


< 9 / 44 >

この作品をシェア

pagetop