あたしの初恋。
 一階、二階、三階、四階、五階・・・
このホテルは12階建て。
だから苦労する・・・。

「愛海ちゃんはドコだよ。」
くそ・・・アイツを一人で行かせたのが
俺の間違えだった。

愛海のほうは・・・

「何する気よ?!」

「おじさんねぇ。実は君を襲うために呼んだんだよ。」

「やめてください!!」
必死でもがく。

「誰かー!!助けてー!!」
誰か・・・栗ちゃん・・!

この階は五階だった。
五○二。
幸運にもエレベーターのすぐそばだったが、
栗ちゃんは階段で来ていた。

「なーに言ってるのかなー?」

「やめてくださいってばー!!」

「ふんっ。その口利けなくしてやる。」

「誰かー!!助けて・・助けてー!!!」
その時。
バンッ!!

「おい、ソレを返せ。」

「栗ちゃん!!」
あたしはモノ扱い?!ソレって・・・。
「おっ。彼氏登場~♪」

「いいから返せ。」
怖い。いつもは子煩悩なのに。
なんだか怖い。

「彼氏ぃ~僕の方がいいんだってー。」

「そんなコト言ってない!!」
あたし今、日本語しゃべれないんだった・・・。
だから「ふふふふふふっふふふ!!」
になっちゃってる。
早く助けて!!

「彼氏の前で襲うってのもいいな。」

「返せ。」

「やーなこった!」

あたしに触ろうとした瞬間・・・。
ボコっ!

「ぐあっ!!」

「返せっつってんだろうが。」

「・・・っ、お前・・・この野労・・・」
気絶しちゃった。
栗ちゃん強い!!

「はぁ・・はぁ、苦労と心配させんなよ・・・。」

「ご・・めん・・。」
涙が出る。

「泣くなよ。助けてやったのに・・・・。」

「ありがと。」

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