あたしの初恋。
大好きだよ。
 結局オヤジは逮捕された。
よかった。

「ちょっと、離れてよ。」

「そっちが抱きついてきたんでしょ?」

「そうだっけ?」

「そーう。」

「離れますよーだ!べー!!」
子供のように舌を出してベー!!。
そっぽを向く。

「お母さんもうすぐ来るんだって。
 栗ちゃんどーする?」

「娘さんを僕にください!って言おうかな~♪」

「やだー!ハズい!!
 お母さん栗ちゃんのコト見たことないから、
 たまたま一緒の部屋になった。って言おうよ!!」

「どうしよっかな~。」

「もぅ!イジワル!!」

「デート、違う日にまた行こうね。」

「最近高校受験シーズンだから急がしいんだよ。」

「そっかぁ、栗ちゃん、受験用の先生だっけ。」

「そう。」

「ふーん。」

「何。ふーんって。」

「何でもない。」
ガラッ。

「あ、お母さん!!」

「あ!お母さん!!じゃないわよ!あなた
 大丈夫?!」

「うん。大丈夫だよ。」

「こちらの方は?」

「あたしを守ってくれたの。」

「娘がお世話になりましたー。すみません。」

「あぁ、いえいえ。」

「さ、帰るわよ。」

「え?帰るって、何で?
 まだ一週間くらい入院しなきゃいけないのに。」

「そうなの?お医者さん呼んでくるわね。」

「はぁーい。」

「お母さんなんか俺のコト怪しんでなかった?」

「何にも。」

「ふーん。じゃ、いいや。」

「お医者さん来た。」

「ホントだ。」

「愛海ちゃん、何か吐き気とかする?」

「はい。とてもします。」

「頭痛は?」

「少しします。」

「熱っぽい?」

「はい。」

「じゃあ、あと一週間入院ね。」
いいの?やった!栗ちゃんと一週間もお泊り!!
病院だけどね。
< 30 / 60 >

この作品をシェア

pagetop