あたしの初恋。
あたしがキス
した瞬間に何かの音がピー・・・・
となった。

心臓が停止した音・・・?

いやだ、やだよぉ・・・・!
何で?
栗ちゃんと付き合い始めて
まだ少ししか経ってないじゃん!
何で死ぬの?
やめて、これは現実ではないの・・・
そう、現実なんかでは・・・

「心臓停止したわ・・・」

「え?ウソでしょ?
 ウソですよね・・・?」


信じられない事実にあわてる。


もう死にそうなほどあわてる。

「残念ながら、本当よ・・・」
牧原先生が涙目になっている。
これは本当なんだろう。
現実なんだろうな。

と自覚した。

だとしたら?
栗ちゃんはもう・・・、
もぅ亡きヒトになったの?

あの時抱きしめてくれたぬくもりは
もう感じられないの?

そんなのやだ・・やだよ・・・
戻ってきてよ、栗ちゃん。
まだ栗ちゃんから

“愛してる。”
って聞いたこと無いよ?!

何で死んじゃうの?!

寂しいよ。

「栗ちゃん・・・・栗ちゃん・・・」
声がしぼり出してしか出ない。

くすっごい悲しかった。
涙が目からふき出てた。

「まだ、栗ちゃんから、はっひしてるって、
 きいってはいっよ・・・?」

泣いてて日本語がしゃべれない。

もう塾には栗ちゃんの姿は現れないし、
この指先も動きもしない。

栗ちゃん?栗ちゃん・・・。

思いっきり幼稚だったよね?
あれ直してほしくなかったんだよ。


ホントは栗ちゃんがあの時
キスしてくれてうれしかった。

前々から栗ちゃんへは
ひそかに思いをつのらせていた。

だから自分の学校にいくらイケメンが
現れようとも栗ちゃんが
イチバンすきだった。



大好きだった。

だけど、もうあの低音の声、
大きい指、抱きしめてくれた時の
ぬくもりは二度と戻ってこないの?
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