あたしの初恋。
 でも、いえないかも。
ううん。いえるハズ。

「先生!」
涙目になりそう。

「何ー?」
小6の生徒とプロレスごっこを楽しんでいる先生がこちらを向いた。
ケガしてる?
ほっぺたから血が少し出ている。
怖い。

「あ、えっと、話したいコトがあるんですけど!!」

「え?俺でいいの?教室長に話さなきゃ。」

「いいんです。栗ちゃんに話さなきゃいけないんだし。」

「あっち来てください。」
人気の少ない場所に向かった。
そりゃ、誰かが聞いたら速、教室長に話して栗ちゃんは絶滅。
やばいことになる。

「なーに?話したいことって。」

「あ・・あの、」

「この前。お酒。飲みましたか?」

「え?あー、えーっと・・・。」

「分かりますか?」

「うーん・・・あっ!」
え・・・?あのことを思い出したとかかな??

「飲んだのんだー!!先生たちと飲んだ~!!」
う・・・言い方が幼稚すぎ。

「で、それからの記憶は無いんですか??」

「えーっとねぇ、誰かを見た記憶はあるんだけどぉ・・・」
えええええ??そこまでしか無いの??記憶・・・。ウソだよね。そう。これは夢。
もしくはウソ。そうそう。そんなコトあるはずないじゃんッ!!
自分に言い聞かせて目を泳がせているあたしに

「でも、それくらいしかおぼえてないなぁ・・。」
ウソ。イヤだもん。栗ちゃんに・・・・。

そして、栗ちゃんはあたしの元を去ろうとしている。
ダメ・・・!!

「先生ッ!!!」

「んー?」

「あ・・・あたしに、キスしたくせにー!!」

そう聞いて、栗ちゃんは笑い出した。

「ダメだよー。いくら俺がカッコいいからってそんなウソついちゃー!!」
こンの・・・栗ちゃんめ・・・。

「ちがいます!!なんなら人工衛星でも呼びますか?NASAでも呼びましょうか??」

「え・・・・?俺、そんなコトしたの?」
コレならハッキリいえる。
「しました!!!」

「え・・・・ウソ???」

「ウソなワケないじゃん!ひどいよ。初めてだったのに・・・!!」

「・・・・・・・。」
沈黙。

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