『優しくしてください。』
(追いかけてきてくれたらなんて
考えてるあたしって‥‥)
本当に自分が嫌になる。
パシャッパシャッ‥
[太陽‥‥?]
雨のせいで姿が霞んでよく見えない。
[ざーんねん。俺でした。]
[幸哉くん‥、なんで]
[兄貴ん家に行こうと思ったら
美憂さんの背中が見えたから
追いかけてきちゃいました。]
[幸哉くん‥、あたし]
[もう俺、
泣き顔なんて見たくないです]
その言葉と一緒に
抱きよせられたのは紛れもなく
あたしの身体で。
[だから俺にしてくださいよ
美憂さん。]
いっそう強くなったその腕の力に
なぜだかあたしは
胸が苦しくなった。