『優しくしてください。』



[あたし東條さんの家の場所なんて
知りませんっ、だから来れるはずがない]



あたしの言葉に
わざとらしく肩をすくめた東條さんは

バレちゃった、なんて言葉を
こぼしたあと

あたしの頭に自分の手をおいてきた。



[はい、鍵]



[へ‥‥?]



頭の上からチャリンという音を
鳴らして鍵が床に落ちる。



< 255 / 272 >

この作品をシェア

pagetop