蜜色オフィス



「芽衣先輩~、聞いてくださいよ~」


月曜日、5Fにあるオフィスに向かう途中のエレベーター。
福田くんと一緒になっちゃった自分の運を恨みながら、電光掲示板を見る。

まだ2Fか……。


「俺、罰として土曜日まで出勤させられたんですけど。
で、デスクとか棚の掃除やらされて。もー、最悪です」
「それ、宮坂も手伝ったの?」
「あ、はい。俺もさすがに気が引けて断わったんですけど……。
“教育係の俺にも責任があるから”って。頑固ですよね」
「……宮坂らしいけど」


宮坂、金曜日の夜、私に付き合ってくれたのに翌日出勤だったんだ。
本当に悪い事しちゃったな……。

ポンって明るい音と一緒に、ドアが開く。
一歩オフィスに歩き出した時、第一営業課から沖田さんが廊下に出てきたのが見えた。



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