蜜色オフィス
「話があるんだ。
……断わると、ひどい目に遭うと思うよ」
「そんな脅しになんか……、」
「あいつにも迷惑がかかる事になると思うけど?」
“あいつ”。
それが宮坂を指してるんだって分かって、黙ったまま睨む。
沖田さんが、微笑んだ後「時間と場所はメールしておく」とだけ言った。
「なんですか、今の……。芽衣先輩、なんか弱味でも握られてるんですか?」
沖田さんの背中を睨んでいると、隣で福田くんが言う。
「っていうか、“あいつ”って誰ですか?」
「……」
「え、えっ、もしかして俺?!」
福田くんがいる前で“あいつ”って言ったんだから、それはないって分かってもいいのに。
「でも、迷惑がかかるって、どういう意味なんですか?」
「……知らない。
沖田さん、仕事で疲れて人違いして話しかけてきただけじゃない?
ほら、早く行こ。また部長に怒られるよ」