蜜色オフィス


「現実逃避したい気持ちも分かるけど、早川が酔いつぶれるほど飲んでここに運ばれてきたのは紛れもない事実だから。
しかも、男なんかの部屋に一晩泊まった上に一度も起きないで熟睡」
「……呆れてる?」
「そう見えるなら呆れてるんだろ」
「……色々言い返したいくらいムカつく事があるけど、とりあえず、泊めてくれた事はありがと。
床で寝かせなかった事も、どうも」


納得いかないながらもぺこりと頭を下げると、宮坂はそんな私に小さなため息をつく。
顔を上げると、じっと私を見る宮坂に気付いた。

なんだろう。まだ何かあるのかな。

そんな風に思って身構えていると、私を見つめたままの宮坂が口を開く。


「早川は、寝てる間に俺に何かされたかも、とか思わない?」
「何かって……そういう事をって事?」
「そう。随分油断してるけど、俺だって男だから」
「え……っ、でも宮坂ってそんなタイプじゃないし。
……女の子に興味あるの?」
「……答えになってないんだけど」



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