蜜色オフィス


本当にそうなのかな……。

今までの事を思い返してみても、宮坂が私だけ特別扱いしてたとは思いにくい。
梢が言ったとおり、宮坂本人も気持ちを隠そうとしていたなら、私が気付かなくても当たり前なのかもしれないけど……。

でも。

歓迎会とか、お花見とか。
上司に飲まされそうになってたのを助けてくれたりするのは、いつも宮坂だった。

体調が悪い事を気付くのも、そういえばいつも宮坂で。
私が風邪引いてたりすると、終業のベルが鳴ると同時にいっつも仕事に使う資料を隠されたり、それが入ってるロッカーに鍵をかけられたり。

『宮坂、ここに置いてあったファイル知らない? っていうか、さっきまであったし絶対に隠したよね?』
『さぁ。知らないけど。
なくなったなら帰れって事だろ。
体調悪いなら早く帰って治す方が先決だし、いつまでもいられても周りに迷惑』
『周りって、宮坂個人を指す?』
『わかってるなら帰れ』

そんな会話を、何度もした。

で、その仕事は毎回宮坂が代わりにやっておいてくれてて。




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