蜜色オフィス


「宮坂の事、ちょっとだけ気になってるっぽいから……、それを気付かれたのかと思ったってだけ」
「『ちょっとだけ気になってる』ねぇ……、もう白状しちゃいなよ。
宮坂が好きなんだって」
「声大きいってば! だから、まだそんな段階じゃないけど、ちょっと気になるっていうか……。
だだだって、最近やたらと優しいから……、仕方ないじゃん!」


焦りすぎて、逆ギレに近い口調になりながら言ってるのに、梢は私が怒ってるのなんか気にもとめないみたいに笑う。


「でも、ついに宮坂の気持ちが報われる時がきたって事か。
っていうか、私のファインプレーのおかげもあるよね」
「ファインプレー?」
「芽衣の寝込みを襲わせようと、わざわざ宮坂の部屋まで連れて行ったの私だし。
おかげで、すっかり恋心が芽生えちゃって」
「だから……っ、」


“まだそういうんじゃない”
続けようと思った言葉を、口の中でもごもご言う。

そういうんじゃないって、じゃあどういう事なんだろ。



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