蜜色オフィス
◇「これは、俺が使わせてもらう」


指定されたホテルのロビーに着いたのは、18時47分。
待ち合わせの時間に間に合ってよかった。

ロビーの右には受付。
左には椅子やソファが置いてあって、一番奥に沖田さんの姿があった。

私を見つけて軽く手を上げた沖田さん。
気合いを入れてから、沖田さんが座るテーブルまで歩いた。


「早かったね」
「……沖田さんこそ。
一課はみんな残業だって聞きましたけど」
「俺はもう終わったから。とりあえず座りなよ。
立ち話できるような用件でもないし」


言われて、少し迷った後沖田さんの向かいに座る。
座って顔を上げた途端、沖田さんと目が合った。


「こないだはとんだ恥をかかせてくれたよね」
「……」
「まぁ、俺も芽衣を利用しようしてたんだから、芽衣を責めるつもりもないけど。
一発ぐらい殴られても仕方ないような気もするし」


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