蜜色オフィス


「それを教えるためにわざわざ……?」
「まさか。芽衣の態度しだいで教えてあげてもいいよって事」
「態度?」
「俺、宮坂にだけは絶対に負けたくないんだよ。
でもあいつ、見た通り無表情だし、嫌がらせしても仕事で負かせても、やりがいがなくてさ」


仕事で負かせたっていうのは多分、自分が一課だからって事。
だけど、一課の方が二課よりも優れてるなんて言い切れないのに。

それに個人の能力だったら宮坂の方が上だ。


「嫌がらせなんて、どうしてそんな事するんですか?」


聞くと、沖田さんがハハって乾いた笑い方をする。


「嫌いだし、気に入らないからに決まってるだろ。
俺は結構平和主義者だし、個人的な恨みだとかは少ないんだけどね。
……でも、あいつだけは別だ」
「……」
「で、今回初めてあいつがポーカーフェイス崩しそうな弱味を見つけた」


じっと見つめながら言われて、それが何を指してるのかが分かる。



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