蜜色オフィス
「え……、私?」
「最初はただ気に入ってる程度かと思って手出したけど、こないだの事でハッキリ分かった。
あいつが芽衣に本気で惚れ込んでるって」
楽しそうに笑う沖田さん。
嫌悪を感じながらも、続きを待つ。
19時を過ぎたからか、ロビーはさっきよりも賑わっているように感じた。
「俺の知る限り、あいつは他人になんか興味を持たない。
そんなヤツが芽衣の事であそこまで熱くなるとはね」
「……そんなに昔から宮坂の事を知ってるんですか?」
「知ってるよ。よーく、ね」
「……」
「ところで」
それだけ言った沖田さんが私を見る。
イヤな感じの笑みを浮かべられて顔をしかめると、沖田さんが続けた。
「自分がここに呼び出された理由、これで分かった?
俺が芽衣をこれからどうしようとしてるのか」
「……宮坂への嫌がらせのためだとしたら、随分浅はかだと思いますけど」
ハッキリ言うと、沖田さんが眉をしかめてから笑う。