蜜色オフィス


「まぁ、突然こんな事言っても信じられないかもしれないけど」
「……分かってるなら、冗談はやめてください。
いくら私でも、そのくらいの嘘なら見破れます」
「そうだね。俺もそれくらいなら分かるよ。
こんな嘘をついても、芽衣が信じない事くらい。
だから、こんな話、嘘ならしない」
「……」
「しても意味がない事は分かるからね。
それに、もしこの話が嘘なら、幼稚すぎる」


確かに……、あまりに話が飛びすぎてるし、子どもっぽすぎる。
嘘をつくにしたって、計算高い沖田さんならもっと巧妙な嘘をつきそうなものだ。

でも……、だからって信じられる話でもない。


「そんな突拍子もない話を信じろって言われても無理です。
社長の子どもだなんて、そんなの、」
「まぁ、正確に言えば、社長の前妻の子どもなんだよ」
「前妻……?」
「別れて俺を母親になすりつけたのが後ろめたいからか、社長、俺のいう事聞いてくれるんだよね。
今の会社に入ったのも、一課に配属されたのも、社長が裏で手回してただけ。
それなら、色々と納得いくだろ?」


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