蜜色オフィス
こんなの、取引でも賭けでもなんでもない。
ただの脅しだ。
「卑怯です、そんなの……」
「この就職難に会社クビになって地獄に突き落とされるか。
好きな女を寝取られて、その女と毎日顔合わせながら仕事するっていう、生き地獄を味わうのか。
もっとも、芽衣が俺との事を言わないなら、あいつは何も知る事もなく過ごせるだろうけど」
「……」
「まぁ、黙ってるなんてできるとは思ってないけど。
芽衣みたいなタイプは、余計に。
だから、勝算は完全に俺にある」
「……最低」
こんな人に告白されて、それを信じてたなんて。
最悪だ。
睨みつけると、沖田さんが口の端を上げて笑った。
「どっちにするか、決まったみたいだね。
約束は守るから安心していいよ。
部屋を出る前に、俺と宮坂の関係は教えるって約束する」
ニコって笑った沖田さんに、吐き気がした。