蜜色オフィス
好きって気付いたばかりなのに、いつの間にか大きくなっていた気持ちが、胸から溢れそうで苦しい。
宮坂を想ってるのに、沖田さんに触られるとか……絶対にイヤだった。
沖田さんの言うように、私はそういう事に慎重だし、大切に思ってるから。
こんな風に沖田さんと関係を持つなんて、普通だったら考えられない事。
歩いてる今だって、逃げ出したくて仕方ない。
……イヤだ。ヤダ。ヤダ。
そんな感情でいっぱいだった。
でも、ここで拒んだら。
もしかしたら、宮坂は本当にいなくなっちゃうのかもしれない。
涙が滲んで、身体が震える。
そんな私に気付いた沖田さんが、エレベーターホール前で足を止めた。
そして、顔を覗き込む。
「いい顔してるね」
「……悪趣味」
「なんとでもどうぞ」
ぐっと、顎を持たれて無理やり視線を合わせられる。
同時にキスされて、拒もうとしたけど、力の差があって適わない。