蜜色オフィス
っていうか、私、なんでさっきから宮坂にドキドキしてるんだろ……。
なんか……、宮坂の素の部分を見たせいで、変に意識しちゃってる。
だって、いつも会社で見る宮坂はカンペキだったから。
“第二営業課の宮坂千明”だったから。
ただの“宮坂千明”には免疫がない。
だからこんなにドキドキしちゃうのかも。
……でも、不思議とイヤじゃないんだけど。
こんな気持ちを……、高校の時に感じた事があるような気がする。
夕方の教室で、窓から眺めるグラウンド。
『もう終わるから』って笑いかけてくる姿を見ながら、いつも感じてた気持ちと、少し似てる。
考えてみれば、純粋に誰かを好きになったのって、あの頃が最後だった気がする。
短大の時は、なんとなく流れで付き合い始めたりしてたし。
一緒にいるだけでドキドキしたりしたのって、高校の時が最後だったなぁ……って、あれ?