蜜色オフィス
一室一室のドアの番号を照らすみたいに灯るライト。
ロビーと違って、足音なんて響かない絨毯の床。
なんか……、なんか生々しい!
思いっきり戸惑ってる私とは反対に、宮坂は極めて落ち着いた顔して歩く。
201から始まった部屋番号が、ひとつずつ大きくなっていって、まるでカウントダウンみたいに感じた。
肩を抱かれてる私は、連れられるまま204のドアの前まで歩かされて……。
宮坂がカードキーを差し込もうとしたところで、思わず止めた。
「あ、あの、宮坂。
前払いしちゃったのかもしれないけど、どうせ沖田さんのお金だし、泊まる必要なんかないかなって……、」
「さっきの事で、俺が怒る権利がないのは分かってる。
けど、こうせざるを得なかった理由といきさつくらいは知っておきたいんだけど」
「……あ、はい」
メガネの奥から厳しい視線を向けられて、縮こまりながら頷いた。
宮坂みたいなタイプがキレると怖い。
福田くんに言った事は、嘘じゃなかったかもしれない。