蜜色オフィス


「やっぱり、無理だ」


なにが?

そう聞き返そうとしたのに、立ち上がって一歩ずつ近づく宮坂が、あまりに真剣な目で私を見てるから。
言葉がでなくなる。

目の前に立つ宮坂。

少しの間、沈黙の時間があった。
視線を合わせたまま、言葉を交わさない時間が。

黙ったままの宮坂が、ゆっくりと私の前に膝をつく。
そして、手を伸ばして頬に触れた。


「自分で思ってるよりも、独占欲が強いみたいだ」


しゃがんでる宮坂の視線は、ベッドに腰掛けている私よりも少し低い。
見上げるように見つめられて、少し前にしたオフィスでのキスを思い出した。

何かを期待してドキドキ反応する胸が、うるさい。


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