蜜色オフィス


「……みや、」


優しく、唇が重なる。
数秒間触れるだけのキスをした宮坂が、少しだけ離れて命令を下した。

甘くて、恥ずかしい命令を。


「口、開けて」
「……え?」
「消毒とかそんなくさい事言うつもりはないけど、あいつにされたままじゃ気がすまない」
「み、……っん、」


言葉を漏らした途端、再び唇が重なって、すぐに舌が入り込んでくる。


「ふ、ぅ……んっ」


この間とは違うキスだった。
咥内を撫でていく舌が、執拗に私を攻める。

丁寧っていうには、少し長すぎる。

2回だけ経験した宮坂のキスは、ゆっくりで情熱的で、じょじょに私の中を熱くとけさせていく。
私の気持ちを煽るような、そんなキスだった。

けど、今してるのは、それとはちょっと違う。
少しだけ荒々しくて、息もできないくらいの“消毒”。

沖田さんがしたキスの記憶を、私の中から奪い去るような。


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