蜜色オフィス
っていうか。
私、宮坂の事、あんまり知らないような……。
あんな高そうなマンションに住んでるとか。
600万もする車に乗ってるとか。
沖田さんと何かしらの繋がりがあるとか。
つっこみどころは満載なのに、なにも知らない。
「私たちって、付き合ってるんだよね?」
言い終わるや否や、宮坂が呆れた顔して私を見た。
セリフをつけるとすれば、“何言ってんだ、こいつ”。
こういうところは、付き合っても全然変わらない。
「だ、だって、私、宮坂の事何も知らないなって思って……」
「俺だって早川の事、そんなに知らないけど」
「え、」
「どんな部屋に住んでるかも知らない。
ベッドでの顔は知ってるけど」
「ちょ……っ!」
いくらふたりきりのエレベーターでって言っても、そんな話題を会社で……!
慌てて止めようとした時、ポンって間の抜けた音を響かせて、エレベーターのドアが開いた。