蜜色オフィス
「福田なんかにうろたえてるのを毎日目の当たりにしてるし。
あんな口から先に生まれてきたような奴に狙われるなんて、隙がありすぎるんだろ。
それに、気持ちがないならキッパリ断わるべきだ」
「……分かってるし、梢にも散々言われてるからご心配なく」
強く言い切ると、宮坂は眉をひそめて少し不服そうな顔をした。
けど、そのまま軽いため息をついて目を逸らしてくれたから、とりあえずホっとして視線をスカートに戻した。
あの瞳に見つめられると……、なんでだかドキドキする。
今まではそんなの意識した事なかったのに……。
なんで急に。
そんな事を考えてから、今緊急なのはそんな事よりスカートの方だって気付く。
「どうしよう、このスカート……、っていうか、今日の服。
一度家に帰って、っていうかここどこ?!」
「会社のすぐ近くだから、早川の家までは電車で20分ってところだろうな。
今6時40分だから、用意してここを出て往復で7時40分。
家での準備時間を10分に抑えて尚且つ時間に合う電車があれば間に合うな」